受付に来て早々に「今日っていくら位かかる?」って質問してくる患者さんいますよね。
『まだ来たばっかりやん!』『何も診察してないのに分かるわけないやん!』ってマスクの下で顔が引きつっていませんか?
この唐突な質問の意図を考え、どのように返答すれば患者さんは納得・理解してくれるのかを紐解いていきます。
『今日いくらかかる?』の質問への返答は?
来院されてすぐの患者さんに「今日はいくら位かかるかな?」や「だいたいいくらかかりますか?」と質問されることがあります。
「まだ来たばっかりやん!」「何も診察してないのに分かるわけないやん!」って思っちゃいますよね。
でも、ここで「まだ診察してないのに金額分かりません。」「診察終わってみないとわかりません。」と返答しては、患者さんの不満が増大されてしまいます。
医療事務側からしたら間違った回答ではないのですが、患者さん側になって考えると不満足な回答ですね。
患者さんの質問を裏返してみる
ではなぜ患者さんはこのような唐突な質問をしてくるのでしょうか?
患者さんの質問を裏返してみると、そこには
今日○○円しか持ってきてないけど
足りるかな?
金額が足りそうになかったら家族に持ってきてもらおうかな…
という様々な不安や心配事が隠れているからです。
医療事務はこのような些細な会話からでも、患者さんの質問の裏側にある真意を感じ取ることが大切です。
このような質問にも優しく答えれられる『医療事務のプロフェッショナル』になりましょう。
クリニックの場合
クリニックであれば、初診時にかかるある程度の料金の平均価格帯分かります。
どのような内容で受診したら、どのような検査を行って、何点になるのか…
普段からしっかりと点数を把握しながら、お会計を行っていれば分かる範囲です。
『まだ診察してもないのに分かるわけないじゃん!!』と愚痴は言わずに、患者さんの気持ちに寄り添って返答しましょう。
ある程度の幅を持たせてお知らせしても構いません。
患者さんは『何千ですむのか?1万あればいいのか?2万くらいかかるのか?』本当に検討が付いていないのです。
初診の3割負担で、大体〇千円~〇千円になると思います。
ただし、診察内容や検査内容によっては、少し変動があるかもしれません。
そちらはご了承くださいませ。
このように丁寧にお詫びなどを組み込みながら、大まかな金額をお伝えすることで喜ばれます。
それでは、手順を見ていきましょう。
ステップ1|患者さんの自己負担割合を確認する
患者さんによっては、1割負担・2割負担・3割負担と自己負担割合が変わってきます。
また、月額の上限がある子ども医療証やひとり親医療証、障がい医療証を持っている患者さんもいます。
患者さんの負担割合や保険証の種類によっては、同じ検査・治療を行っても、患者さんの支払う窓口負担額が違うことを理解しましょう。
ステップ2|どのような症状で来院したか確認する
どのような症状で来院されたかによって、行う検査や治療は変わってきます。
例えば、冬に高熱を出して来院された患者さんは、インフルエンザ検査を行われる可能性が高くなります。
眼が充血していて家族も同症状がある患者さんは、アデノウイルス検査を行われる可能性が高くなります。
足を引きずって痛そうにしている患者さんは、レントゲンを撮影するでしょう。
まずは、受付で患者さんに「今日はいかがなさいましたか?」と問いかけてみましょう。
ステップ3|だいたいの検査内容を予想する
患者さんがどのような症状で来院したか確認出来たら、次はだいたいの検査・診察内容を予想しましょう。
クリニックであれば、ある程度の診療行為が推測できるはずです。
自院の診療科でよく出てくる点数を、診療報酬点数表から抜粋して表を作成しておくことをお勧めします。
だいたいの検査内容を予想したら、初診料や再診料、処方箋料など算定できそうな点数もまとめてある程度の診療点数を割り出しましょう。
ステップ4|概算点数×自己負担割合の計算をする
患者さんが窓口で支払う金額は、『診療点数×負担割合』で計算されます。
- 診療点数 850点の場合
850点 × 3割 = 2550円
850点 × 2割 = 1700円
850点 × 1割 = 850円
ステップ1で確認した患者さんの自己負担割合に、ステップ3で割り出した診療点数を掛け算して、概算を出します。
ステップ1の患者さん自己負担割合 × ステップ3の診療点数
ステップ5|おおよその負担金額にプラスαする
「だいたいの金額になりますが…」と前置きをした上で、敢えて1000円位はプラスαして伝えておくことをお勧めします。
3割負担の方であれば、1000円とは333点の診療行為の追加になります。
もし、紹介状を記入することになれば、それだけで250点算定できるので、簡単に750円の追加になりますね。
- 「5000円位かかるかもしれません」☞ 実際には「4000円の支払い」
- 「3000円位かかるかもしれません」☞ 実際には「4000円の支払い」
上記の2パターンで言うと、実際に支払った金額は4000円と変わりありません。
しかし、1の場合は「得した~」と思ってもらえるが、2の場合は「損した…ってか全然言ってること違うじゃん」と思われてしまいます。
「今日いくらかかる?」の返答であなたが最初に言った金額が、患者さんの判断基準になってしまいます。
なので、おおよその負担金額にプラスαして言っておいて間違いありません。
むしろ、「あぁ~思ったより安くて良かったわ」と言われることが大半です。
ステップ6|最後に、変動がある旨を伝える
今日はだいたい○○円~○○円になるかと思います…
でも、検査内容などによっては大幅に変わる可能性もありますのでご了承くださいね
この言葉を付け加えるのと、付け加えないのでは、会計の時の反応が全然違ってきます。
少しの逃げ道を作っておくことも大事なことです。
「今日っていくら位かかる?」への返答手順【おさらい】
まとめ
「今日いくらかかる?」なんて質問…
医療事務からしたら『まだ診察も終わってないのに、むしろ来たばっかりなのに金額分かるわけないやん!!」っていう愚痴が漏れてきそうですね。
しかし、愚痴を言っているばかりでは何も成長しませんよ。
この質問を受けた時は、患者さんの質問の裏側をのぞいてみましょう。
ただの患者さんは素朴な疑問なのかもしれないし、財布に少ししかお金が入ってなくて心配になっているかもしれません。
ここは、『医療事務のプロフェッショナル』を目指して、どんな質問にも丁寧に返答出来るように準備しておきましょう。
しかし、概算を教えたのにも関わらず、全然的外れな計算になっていることもありますが、落ち込まないで大丈夫です。
あなたが誠実に患者さんの不安や心配事に寄り添おうとした心は患者さんに通じています。
そして、この概算を行うことで、あなたの知識はグレードアップしています。
いつの日か計算せずとも、ある程度の概算をすぐに患者さんへお伝えすることが出来る日がきますよ。
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