日本では国民皆保険という制度があり、医療機関に受診する患者さんは保険証を病院に提示します。
医療事務の受付業務では、この健康保険証の確認を行わなければいけません。
受付業務で必須になってくる保険証確認をスムーズに行えるように、保険証の登録&確認の極意を知っておきましょう。
医療事務初心者さんには、医療事務の基本である保険証登録について知るきっかけに、
医療事務経験者さんには、これからの受付業務の効率化と保険証登録&確認の意義の再確認をしていただけます。
当たり前に入っている『国民皆保険』
患者さんが医療機関に来院したときに提示しているのが『健康保険証』です。
日本国民は必ず何らかの公的な保険に入っていて、医療機関に受診するときは健康保険証を持参します。
これが、『国民皆保険(こくみんかいほけん)』という制度です。
患者さんは医療機関に受診したときに、健康保険証の提示をすることで、全額(10割)の支払いではなく、自己負担額のみで受診ができます。
そして、私たち医療事務は、この健康保険証を元にして、レセプト請求を各保険者へ請求していきます。
健康保険証っていつ確認するの?
では、健康保険証はいつ確認するのが正しいのでしょうか?
それは、『その月のはじめての受診日』です。
月末の30日に受診した患者さんが、翌月1日に再度受診された場合は、
30日にも、翌月1日にも健康保険証の確認を行います。
その月の始めての受診日には、月末だろうが月初めだろうが保険証の確認を行います。
原則『月1回の保険証確認』が基本となります。
健康保険証を確認する理由
では、なぜ健康保険証の確認をするのでしょうか?
医療機関は医師が患者さんへ行った診療行為に対して、診療報酬点数表より算定します。
そして、患者さんへ請求を行いますが、全て(10割)を患者さんから徴収するわけではなく、患者さんの自己負担分を窓口にて徴収し、それ以外は一月分をまとめてレセプト請求を行います。
医療事務の仕事で、このレセプト請求は医療機関の収益において最も重要な仕事になります。
レセプト請求の事が分からない方は、レセプト業務の超初心者向け記事を合わせて読んでいただくと、さらに理解が深まります。
レセプトには頭書きと言われる部分がありますが、この頭書き部分が健康保険証の確認と密接な関係になっています。
健康保険証ってどこ確認するの?
さて、患者さんから提示された健康保険証ですが、どの部分を見て確認したらいいでしょうか?!
結論から申し上げますと…全部です!!隅から隅まで全部確認しましょう!!
1枚の健康保険証に記載されている情報はどれもこれも欠かせない情報です。
健康保険証には上記のようにたくさんの患者さんの情報が記載されています。
受付時には、この情報を目視しながら、間違えないようにレセプトコンピューター(レセコン)に入力していきます。
保険証登録&確認の極意!必要スキルとは?
保険証確認の極意である必要なスキルはなんでしょうか?
やっぱスピーディーに早く入力することでしょ?!
いやいやもう、見ずに入力することでしょ?!(保険者番号ならこれくらい出来るようになる)
と思っているかもしれません。
いえいえ、違いますね!!
保険証確認の極意である必要なスキルは、『丁寧であること!!』です。
このスキルに勝るものはありません!!
レセコンに入力する際は重要なのは、『間違えないように!!正しく入力すること!』これのみです。
医療事務初心者さんは、まずはスピードよりも丁寧さを重要視しましょう!!
なぜこのスキルが必要なのか?
では、なぜスピードよりも丁寧であることの方が重要ななのか説明していきます。
初心者さんはこんなことないですか??
初心者さん
あぁ~患者さん多いし、保険証の確認や入力に時間かけてられないよ~!
少しくらい間違ってもいいかな?!先輩に怒られたくないし早くしよう!!
ちょいちょい!ちょっと待ってぇ~~~~~!!!!
初心者さん
(あぁ~怒られる~…)
怒らないからちゃんと聞いてね☆
そんな適当に入力した方が絶対にダメだよ~!!
急いで間違えるよりも、ゆっくり丁寧に入力や確認していくことが大切だよ☆
初心者さん
はい!!分かりました!!
ちゃんと丁寧に入力していきます!!
(よかった~怒られないで。)
今やってる保険証の確認は、レセプト業務のスタートラインだからね!
初心者さん
へぇ~そうなんですね!
先輩!分かりました!
医療事務の受付業務は色々と目まぐるしいですよね。
受付窓口で保険証の入力をしているときに電話がかかってきたり、保険証の確認をしているときに次の患者さんが来院されて声かけられたりしますね。
患者さんが多くて保険証の入力や確認を焦っておろそかになってしまう気持ちも分かりますが…
この保険証確認はとっても大切な業務の一環です。
先ほどもお伝えした通り、医療機関の収益において、医療事務の仕事で最も重要な仕事は『レセプト請求業務』になります。
レセプト請求を行うことで、医師が患者さんに行った診療行為の報酬が病院の収益として振り込まれます。
このレセプト業務のスタートラインが『保険証の登録・確認作業』になります。
このスタートラインをどれだけスムーズに進むことが出来るかによって、今後のレセプト業務を左右していきます。
返戻とは?
では、この健康保険証の登録をする際に、少し間違って登録してしまったらどうなるでしょうか?
医療機関が社会保険や国民健康保険へレセプト請求を行ってもレセプトの記載間違いや不備があった場合は、保険者に受理されることなく、医療機関に返還されてしまいます。
これを、『返戻(へんれい)』と言います。
返戻されたレセプトについては、医療機関へ診療報酬の支払いがされない…ということです。
また、返戻されたレセプトは、返戻の事由を確認し、訂正を行ったあとに再度レセプト提出することになります。
健康保険証の登録をする際に少し間違っただけで、仕事量が倍以上に増えることになります。
このことは常に念頭に置いて、保険証の登録や確認を行っていきましょう。
返戻の事由
では、返戻の事由にはどのようなものがあるのかご存じですか?
私たち医療事務の保険証の登録時のミスによる返戻も数多くあります。
具体的にどのような返戻の事由があるのかみていきましょう。
登録&確認作業と返戻の事由の比較
さて、最初に説明しましたが、患者さんから提示された健康保険証を確認するべき箇所はどの部分でしたか?
そうですね…
全部です!!隅から隅まで全部確認しましょう!!とお伝えしました。
1枚の健康保険証に記載されている情報はどれもこれも欠かせない情報でしたね。
それでは、健康保険証の確認作業と健康保険証の確認ミスの比較をしていきましょう。
健康保険証の登録作業 | 健康保険証確認ミスの返戻事由 |
患者氏名 | 患者氏名の誤り |
性別 | 性別の誤り |
生年月日 | 生年月日の誤り |
本人または家族 | 本人または家族の誤り |
記号・番号 | 記号・番号の誤り |
保険者番号 | 保険者番号の誤り |
資格取得年月日 | 資格喪失後の受診 |
有効期限 | 旧証による受診 |
上記の表を見て、直感でもうお分かりいただけましたか?
保険証を確認するべき部分が、レセプト返戻の事由になっているのが分かると思います。
患者さんから提示された健康保険証を確認するべき大切な部分…
全部ですね!!登録をひとつも間違ってはいけない情報たちばかりです。
ケアレスミスを防ぐために
人が入力するもの、目視で確認するものですので、ケアレスミスは起きてしまいます。
ダブルチェックを行うことで、保険証の登録ミスを防げるようにしましょう。
また、レセプトのオンライン請求を行うことで、保険証登録ミスによる事由の返戻をレセプト提出前に分かるようにもなります。
また別の記事にてレセプトのオンライン請求についても、今後ご紹介していきたいと思っております。
保険証登録&確認と環境問題【まとめ】
医療機関に受診する患者さんは、健康保険証を医療機関に提示します。
医療事務の受付業務では、この健康保険証の入力や確認を避けて通れない業務です。
保険証確認の必要性をお分かりいただけたものと思います。
保険証確認を丁寧に正しく行うことで、自分たちの仕事量の減少にもつながってきます。
さらに、保険者の仕事量も減り、返戻に使っている資源の減少にもつながってきます。
もしかしたら、保険証確認を丁寧に行うことが資源の無駄をなくすことに繋がり、環境問題の改善の手助けにもなるかもしれませんね♡
医療事務の受付業務で必須になってくる保険証確認をスムーズにかつ丁寧に正しく行うように、今一度保険証確認の大切さを知っておきましょう。
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