健康保険と一緒に提示される子ども医療・重度障がい者医療・ひとり親家庭等医療…
医療機関では、よく提示される医療証の中の3トップですね。
患者さんは持っていたのに、気づかなくて、会計の後に「あの~これあったんですけど」と言われて提示された…
患者さんの保険証の束の中に入っていたのに登録していなかった…「あの~私これ持ってるんですけど…」と言われた…
このようなことに遭遇したことないですか?
せっかく終わらせた会計なのに…
患者情報を登録しなおして、カルテの保険組み合わせの変更をして、計算しなおして、領収書や処方箋を出しなおして…
こうなると、仕事量は倍以上に膨れ上がりますよね。
どのようなときに使用出来て、誰が持っているのか分かることでこのようなトラブルは未然に防ぐことが出来ます。
医療証の基本である『子障親(こしょうおや)』について学んでいきましょう。
子ども医療証
子ども医療証の特徴
それぞれの市町村が、子どものすこやかな成長を願って、安心して医療機関に受診できるよう発行しているのが『子ども医療証』です。
患者さんのお住まいの市町村で医療証が発行され、子ども医療の助成を受けることができます。
市町村によって、対象年齢や患者負担の上限も変わってきます。
「健康保険証」と「子ども医療証」の両方を提示してもらうことで、患者さんの自己負担が軽減されます。
重度障がい者医療証
重度障がい者医療証の特徴
重度の身体障がいや知的障がい、精神障がいを有する人の保健の向上と福祉の増進を図り、安心して医療機関に受診できるよう発行しているのが『重度障がい者医療証』です。
患者さんのお住まいの市町村で医療証が発行され、重度障がい医療の助成を受けることができます。
対象となるのは、身体障がい者手帳(1級または2級)または療育手帳A判定、精神障がい者保健福祉手帳1級の交付を受けている患者さんです。
重度障がい者医療証の対象外の方
生活保護を受給している患者さんや所得制限限度額以上ある患者さんは、重度障がい者医療証の対象外となります。
また、65歳以上75歳未満の人で後期高齢者医療に加入していない方は、重度障がい者医療証の対象外となります。
私にも以前は知識がなかったんですが、今まで障がい者医療証を持参していたのに、65歳になってから障がい医療証を提示しなくなった患者さんがいました。
この患者さんは、協会けんぽ(社会保険)に加入されていました。
先月までは障がい者医療証を持参されていたので、何度も患者さんに確認しましたが「役場から65歳からはなくなると言われました」と言ってました。
その時に、色々ネット検索して調べた結果『65歳以上75歳未満の人で後期高齢者医療に加入していない方は対象外になる』ということでした。
ひとり親家庭等医療証
ひとり親家庭等医療証の特徴
母子家庭の母および児童・父子家庭の父および児童・父母のない児童に対して、保健の向上と福祉の増進を図り、安心して医療機関に受診できるよう発行しているのが『ひとり親家庭等医療証』です。
子どもが18歳未満の場合、その母や父にも『ひとり親家庭等医療証』が交付されます。
例えば、母・20歳・15歳の母子家庭とします。
この場合は、母と15歳の子どもにはひとり親家庭等医療証の交付がありますが、19歳の子どもには交付がありません。
ひとり親家庭等医療証の対象外の方
生活保護を受給されている患者さんや所得制限の限度額以上ある患者さんは給付対象外になります。
子どもが18歳以上のひとり親家庭では、子どもも親も給付対象外となります。
また、小学校就学前の乳幼児で、子ども医療証の発行が出来る患者さんは、子ども医療証が優先され、ひとり親家庭等医療証の対象外になります。
例えば、母・8歳・3歳の母子家庭とします。
母・8歳の子どもは、ひとり親家庭等医療証の対象になります。
3歳の子供は、まだ未就学児になりますので、子ども医療証の対象となります。
このように、ひとり親家庭であっても、家族全員が『ひとり親家庭等医療証』を持っているわけではないので、しっかりと仕組みを理解しておきましょう。
子障親(こしょうおや)の法別番号【福岡県】
医療証の3トップである『子ども医療・重度障がい者医療・ひとり親家庭等医療』の法別番号を覚えておきましょう。
ここでは、福岡県の番号を記載します。
法別番号 | 医療証の種類 |
81 | 子ども医療 |
80 | 重度障がい者医療 |
90 | ひとり親家庭等医療 |
子障親の法別番号は、都道府県からの発行なので、独自に番号を振られています。
福岡県以外の県は、自身の子障親の法別番号をご確認ください。
子ども医療・重度障がい者医療・ひとり親家庭等医療の共通する部分
子障親の共通項
子ども医療・重度障がい者医療・ひとり親家庭等医療に共通する部分は、お住いの市町村で医療証の発行がされることです。
このことから、使用できない場合も共通する部分になります。
子障親医療証が使えない場合
里帰りなどで、県外にお住いの患者さんが来院した場合には、「子障親の医療証」は使用できません。
この場合は、「健康保険証」による負担割合を窓口で徴収し領収書をお渡しします。
患者さんに、後日自宅に帰られたときに、市町村の窓口にて払い戻しの手続き(償還払い)をするようにお知らせします。
償還払いの際は、必ず領収書が必要になりますので、大切に保管するようにお伝えしておきましょう。
また、県内にお住いの患者さんでも、「子障親の医療証」単体のみの持参では、子障親の医療証は使用できません。
保険証を手続き中や保険証を忘れたなどの理由で、「子障親の医療証」しか持参していない患者さんは、一旦10割負担していただきましょう。
後日改めて、「健康保険証」+「子障親の医療証」+「領収書」の3点を持参するようにお伝えし、持参した場合は返金処理を行います。
子障親の医療証を忘れた場合の対処法
健康保険証は持参しているが、子障親の医療証のみお忘れの場合などもあります。
この場合の窓口対応には3パターンありますので、ご紹介していきます。
私が今まで対応してきた体験にて解説していきます。
医療機関によっては、対応の仕方が変わってくる場合もありますので、参考にされてください。
1.健康保険証を使用して、今月中に子障親の医療証を持参いただく
基本的には健康保険証を使用して、まずは自己負担分のみ窓口徴収します。
受診日の月末までに、『子障親の医療証』+『領収書』を持参していただいて、返金処理を行います。
2.健康保険証を使用して、市区町村の窓口で償還払いをしていただく
健康保険証を使用して、自己負担分のみ窓口徴収します。
今月中に子障親の医療証の持参が難しい場合は、市区町村の窓口にて償還払いの手続きを患者さん自身で行っていただきます。
医療機関でのレセプト請求は『単独レセ』にて提出します。
患者さんが子障親の医療証の持参するまで、レセプト請求を保留に回す手立てもありますが、これは医療機関側の手間になりますので、基本的には行いません。
3.健康保険証も使用せず、一旦10割負担いただく
償還払いの説明をするも面倒だな…と言われた場合は、一旦10割負担いただきます。
後日、『健康保険証』+『子障親の医療証』+『領収書』を持参したときに、医療機関で払い戻しすることができます。
受診月のレセプト請求が過ぎている場合は、この患者さんのレセプトの月遅れ請求を忘れないようにしましょう。
償還払いとは
何らかの理由で医療機関に一旦支払いをした場合は、後日市区町村の窓口へ『医療証』+『領収書』などを持参し、支給申請を行いうことで支払った自己負担分を返金してもらうことが出来ます。
このことを『償還払い』と言います。
償還払いは、患者さんの手間もかかりますし、市区町村の手間もかかります。
また、患者さんへ支払いされるのが数か月後になる場合もあります
子ども医療・重度障がい者医療・ひとり親家庭等医療【まとめ】
子ども医療・重度障がい者医療・ひとり親家庭等医療は、受付業務を行っていたらよく目にする医療証の3トップです。
違いを理解し、子どもが来院されたときは、何か医療証があるのではないか?と年齢を確認したり、市区町村を確認したりしてみてください。
会計が終わってから、『これ持ってたんですけど…』と言われては、患者さんの時間も取るし、医療事務の仕事量も倍以上に膨れ上がってしまいます。
事前に気付くことが出来る部分は、医療機関側から気付いてミスなくスムーズに業務が行うことが出来ればいいなと思います。
コメント