医療事務とひとことでいっても、総合病院の医療事務として働くのか、クリニックの医療事務として働くのかで、仕事内容や職場の雰囲気がガラッと変わってきます。
医療事務を病院とクリニックどっちで就職しようか悩んでいる方へ、総合病院とクリニックと共に経験した私の体験談をもとに徹底分析していきます。
どちらの扉を開けるのかによって、働き方は全然違ったものになります。
この記事を読んだあとには、病院の医療事務として働いた方が自分に合っているのか、クリニックの医療事務として働いた方が自分に合っているのかが選べるようになります。
悩んでいた気持ちが晴れ晴れし、新たな一歩を踏み出せることでしょう。
病院とクリニックの違い
ねぇねぇ。突然だけど…病院とクリニックの違いの説明してくれる?
えっ?!ホントに突然ですね・・・
医療事務として働くなら知っておかないと!職場選びを後悔しないためにもね☆
職場選びにも関係してくるんですね…
知りませんでした…
そうだよ~~!医療事務といっても働く場所で全然変わってくるからね~
それでは、しっかり覚えていってね☆
病院で働くのか…クリニックで働くか…を考える前に、まずは病院とクリニックの違いを知っておく必要があります。
呼び名が違うということは、何か違いがあるはずです。ここでは病院とクリニックの違いを見ていきます。
病院とは…
では、病院と表示できる医療機関の基準はどこにあるのでしょうか?
どこの医療機関も病院と表示していいわけではなく、きちんとした決まりがあります。
病院とは、○○総合病院・○○大学病院・○○病院など、規模はそれぞれ異なりますが、どの医療機関も『20床以上の病床を有するもの』と決められています。
クリニックとは…
では、クリニックとはどのような基準があるのでしょうか?
病院の基準に入らないものですので、診療所とは『19床以下の病床を有するもの』とされています。
地元の医療機関には、○○クリニック・○○医院・○○診療所と様々な呼び方の医療機関があります。
ただし、これは一般的に診療所のことを指しており、医院・診療所・クリニックの違いは特に決められていません。
病院とクリニックの違いとは…
クリニック = 19床以下の病床を有する医療機関
病院の医療事務
1日の主なスケジュール
医事課・再来新患受付係
8:00~ 朝礼
8:10~ 患者さんの受付開始
~12:00 新患・再診の受付・保険証確認・診療科ご案内・外部の電話対応など
12:00~13:00 休憩時間
13:00~ 書類の整理整頓・カルテの整理整頓・外部の電話対応など
17:00 業務終了
医事課・レセプト会計係
8:00~ 朝礼
8:10~ 患者さんの受付開始
~12:30 外来患者さんのレセコン入力・会計・入力のチェック・レセプト業務など
(1時間交代で時間割を組んで業務行う)
12:30~13:30 休憩時間 (交互に休憩へ)
13:30~ 外来患者さんのレセコン入力・会計・入力のチェック・レセプト業務など
(午前同様に、1時間交代で時間割を組んで業務行う)
17:00 業務終了
17:00~ 各外来に患者さんが残っている場合…会計当番として交代で残業
病院の医療事務は、医事課やクラーク課、さらには総務課・システム課・人事課・広報課など多岐にわたる部署があります。
私が経験した医事課に注目してみても、業務が細分化されております。
再来・新患受付を行う部署があったり、外来のレセプトや会計担当する部署、入院のレセプトや会計を担当する部署などがあります。
病院の医療事務のメリット
メリット その1 医療事務の基本から教えてもらえる
病院の医療事務は、未経験でも入職しやすく、先輩方がたくさんいるため、細かなことまで教えてもらえます。
私もまずはカルテ庫にお世話になり、カルテ運搬・カルテ管理などの基礎から教えてもらいました。
医療事務の基礎から教えてもらえるのはこれから医療事務として働くためにはとても役に立つことでした。
メリット その2 業務に集中しやすい
業務が細分化されているため、一つの業務に集中して仕事を行うことが出来ます。
再来受付を行う際は再来受付の保険証確認。新患受付を行う際は新患のカルテ作成。
レセコン入力を行う際はレセコン入力…など
それぞれの仕事が細分化され、きちんと担当が決まっているからこそ、その時々の業務に集中して仕事を行うことが出来ます。
メリット その3 有給休暇の取得がしやすい
総合病院であれば、医療事務の人数も多いので、子供の行事や急な病気の時の休みなどにも融通が利きやすく、休みも取りやすいでしょう。
病院の医療事務のデメリット
デメリット その1 スキルが偏ってしまう
病院の医療事務は業務が細分化されており、経験できる範囲が限られています。
医事課に配属された場合は、クラーク課のことや仕事内容などは分かりませんし、
クラーク課に配属された場合は、レセプト請求にはほとんど関わることがありません。
それぞれ自分が担当した業務の事においてはスキルアップできますが、担当しない業務においては、スキルアップは出来ません。
デメリット その2 正社員の募集が少ない
総合病院の医療事務では、派遣社員の募集が主で、正社員の募集はあまり見られません。
仮に正社員の募集があったとしても、大学卒や経験者などの条件付きがあり、応募人数も多く狭き門です。
デメリット その3 スタッフの入れ替わりが多い
総合病院の医療事務は、派遣社員が多く、スタッフの入れ替わりが多い印象です。
私が病院に勤めていた2年間でも、多くのスタッフの入れ替わりがありました。
だからこそ、自分が出来る仕事を見極め、継続して一生懸命努力することで認められる人材になれることもあります。
私も新人の頃は医事課の再来受付のみの業務でしたが、徐々に新患受付→外来レセプト→入院レセプトと、かなりステップアップし、多くの医療事務の業務を経験することが出来ました。
クリニックの医療事務
1日の主なスケジュール
8:45~ 院内清掃・朝礼
9:00~ 午前の受付開始
~12:30 患者さんの受付・電話対応・カルテ準備・会計・その他雑務
12:30~14:00 休憩時間
14:00~ 午後の受付開始
~17:30 患者さんの受付・電話対応・カルテ準備・会計・その他雑務
17:30 業務終了・売上管理・収納報告
最後の患者さんが終わるまで、当番制で残業を行う。
クリニックの医療事務のメリット
メリット その1 医療事務の流れを一通り経験できる
クリニックの医療事務は、受付・予約管理・電話対応・レセプト請求・会計業務・カルテ管理・物品管理・院内清掃など…やるべき仕事がたくさんあります。
総合病院では細分化されている業務をクリニックの医療事務はすべて自分で経験することが出来ます。
メリット その2 患者さんと近い距離で対応できる
クリニックの医療事務は、そこの地域の患者さんがかかりつけ医として選んで受診することが多く、顔見知りになります。
新人の頃は難しいかもしれませんが、長い間勤めていると、患者さんの顔と名前も覚えてきます。
会計の後に、『○○さん、ありがとう!!』なんて言われることもあります。
人の役に立てたと思うときは仕事のやりがいにつながり、とても嬉しいしいことです。
メリット その3 アットホームな職場環境
少人数の職員で仕事しているクリニックでは、看護師や院長との距離も近く、アットホームな雰囲気が多いです。
院長からお昼休みに差し入れでケーキをいただくときもあり、みんなでワイワイ言いながら食べることもありますよ。
毎日同じメンバーでの仕事になるので、意思疎通もしやすく、長く働くことでとても働きやすい職場になっていきます。
メリット その4 診療科の病気の知識にも詳しくなる
クリニックは、内科・脳神経外科・整形外科・眼科・小児科など標榜している診療科があります。
小児科クリニックの医療事務になった場合は、子供に関する病気や予防接種についての知識は詳しくなります。
自分に子供が出来た場合、休日に友達の子供が病気になった場合などに簡単なアドバイスをすることもできるでしょう。
整形外科クリニックの医療事務になった場合は、骨や筋肉に関することは詳しくなり、また自賠責保険や労災保険についても多く取り扱うため、知識は豊富になるでしょう。
クリニックの医療事務のデメリット
デメリット その1 少人数制で仕事量が多い
クリニックの医療事務は、通常の受付・会計業務以外にも、物品管理や請求書の整理、院内清掃など…やるべき仕事がたくさんあります。
レセプト請求に関することもすべて行わなくてはなりません。きちんと計画立てて仕事をこなしていくことで、毎月のレセプト請求に間に合わせましょう。
業務を効率よくすることで無駄を省いて、時間内に仕事を終わらせる工夫をする必要があります。
デメリット その2 繁忙期は休みが取りにくい
少人数がゆえに、繁忙期は休みが取りにくいのも現状です。
例えば、内科や小児科などは冬のインフルエンザが流行する時期は、患者さんも多くワクチン接種などもあり、患者さんが多くなります。
耳鼻科や眼科では、春のアレルギーシーズンの頃は患者さんが多くなります。
診療科によって時期は異なりますが、少人数で業務を行っているクリニックでは、繁忙期に休むのは難しいかもしれません。
デメリット その3 診療科以外の知識が習得できない
クリニックは、内科・脳神経外科・整形外科・眼科・小児科など標榜している診療科があります。
例えば、整形外科クリニックの医療事務になった場合は、整形外科に関する病気やレセプト算定には詳しくなります。
しかし、転職時に小児科クリニックの医療事務になりたい場合は、いちから小児科に関する病気やレセプト算定について学ぶ必要があります。
病院とクリニック どちらにも共通する部分(大切なこと♡)
業務の内容や働いている人数などの違いがあるということは分かったと思います。
ここで、病院・クリニックどちらの医療事務になっても変わらない共通する部分をお伝えします。
私が考える医療事務にとって、大切な部分になりますので、必ず目を通してくださいね♡
『医療機関には受診される患者さんや付き添われるご家族の方が来院する』ということです。
医療事務として医療機関で働くということは、『患者さんや患者さんのご家族の対応をする』ということはどちらにしても共通する部分ですね。
あなたに思い描いてほしいことがあります。
あなたが医療機関に受診するときは、どのような想いで受診しますか?
『ここが痛いけど、大丈夫かな?』
『大きな病気になってたらどうしよう?』
『この前の検査結果大丈夫だったかな?』
『今日ってどれくらい待つのかな?』
『この後予定あるけど間に合うように終わるかな?』
などなど…
医療機関に来る患者さんは何かしらの不安や心配事を抱えて来院されます。ほんの些細なことでもです。
その不安や心配事に一番に接する人が『医療事務』というポジションです。
疲れているときもあるかもしれませんが、笑顔は人の心を和ませます。極力笑顔を心がけましょう。
業務に追われて忙しい時もありますが、声をかけられたら手を止めて顔を上げて対応しましょう。
あなたのその笑顔で、あなたのその心のこもった対応で、少しでも不安や心配事を解消できるように対応する気持ちを、いつも忘れないでくださいね。
病院医療事務 VS クリニック医療事務のまとめ
病院の医療事務とクリニックの医療事務の違いは理解できましたか?
病院の医療事務は、それぞれ細分化された業務になっていますので、部署ごとで行う仕事内容はかなり違ってきます。習得できる能力も異なるでしょう。
また患者さんと密に関わることはほとんどなく、受付なら受付のみの対応になってしまいます。
それに代わり、クリニックの医療事務は、クリニックに来る患者さんと密に関わることが出来るので、患者さんの顔と名前を覚えて接することも可能でしょう。
個人的な意見になりますが、私はクリニックの医療事務の方が性に合っていると思い、現在もクリニックの医療事務として仕事を行っています。
あなたはどちらの医療事務が好みでしたか?自分に合った働き方を見つけて、楽しい医療事務の仕事を行ってくださいね。
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