医療事務の求人を見ていると、加入保険に医師国保という記載があります。
健康保険と言えば社会保険はよく聞いたことありますが、あまり聞きなれない『医師国保』とはどういった保険なのでしょうか?
この記事を見てくれている方は、求人の加入保険に『医師国保』という記載があり、この意味がよく分からずにからずに調べていることと思います。
医師…と名前がつくからには医師が入る保険と勘違いされがちですが、クリニックで働く場合は従業員も「医師国保」に加入する場合もあります。
それでは、「医師国保」について、解説いってみましょう。
医師国保ってどんな保険?
医師会に所属する医師が加入できる健康保険が「医師国民健康保険組合」です。
これを略して『医師国保』と言われています。
医師…とつくからには医師が入る保険と勘違いされがちですが、医師国保に加入できるのは、医師会に所属する医師や医師の家族、医療機関の従業員です。
医療機関の従業員数が5人未満であれば、社会保険への加入はしなくてもよいのです。
医師国保は、組合保険ですので、組合員となります。組合員の種類は以下の通りです。
医療に従事する医師 ☞ 甲種組合員
甲種組合員(医師)に雇われている従業員 ☞ 乙種組合員
院長先生は『甲種組合員』になり、医療事務や看護師などの従業員は『乙種組合員』に分類されます。
組合員の種類により、保険料の負担額も変わってきます。
保険料の負担額は?
社会保険は収入により保険料の変動がありますが、医師国保は一人あたりの保険料が決まっています。
一人当たりの保険料は決まっていますが、医師や従業員、家族また年齢によって保険料は変わってきます。
保険料の下記表は、令和3年度の福岡県の保険料負担額です。
保険料 | 39歳まで | 40~65歳まで |
甲種組合員(医師) | 29500円 | 35500円 |
乙種組合員(従業員) | 18000円 | 24000円 |
家族 | 11000円 | 17000円 |
家族の中で自分ひとりが医師国保に加入している場合は、39歳までであれば、18000円の保険料になります。
40歳以降では、介護納付金が追加になりますので、6000円アップします。
子ども2人を扶養に入れている場合は、家族の保険料が追加になります。
扶養人数が増えれば増えるほど、保険料の負担額は高くなってしまいます。
一人当たりの保険料は決まっているため、子供2人を扶養に入れる場合は40000円と高額になります。
ただし、医師国保は年収が上がったとしても、保険料負担が増えることはありませんので、この点に関しては長期間勤めていく場合は助かりますね。
おそらく院長先生もクリニックの収益によって保険料負担の増減がないため、医師国保に入るメリットがあるんだと思います。
保険料は折半される?
社会保険料は会社が半分負担しなければならないという決まりがありますが、医師国保はこのような決まりは定められていません。
よって、医師国保の場合は、保険料を全額自己負担のクリニックもあります。
一人の保険料でも18000円給料から天引きされることを考えると…結構きついですよね。
ただし、クリニックによっては半分負担してくれる場合もありますので、ここは確認が必要なところです。
実際、私は医師国保に加入していますが、クリニック側が半分負担してくれているため、保険料は現在9000円の負担で済んでいます。
この場合は、給料アップしたとしても社会保険料より安く済みますので、折半があればかなり助かります。
医療法人は入れない?
基本的には『医療法人』の場合は、社会保険の加入が義務付けられています。
しかし、開院当初は法人化していなくて医師国保に加入し、のちのち法人化した場合は、その後も引き続き『医師国保』であり続けることが出来ます。
クリニック側にとってみると、医師国保の方が給料を上げても保険料の増加もせず、折半したとしても保険料が一定なのはありがたいことですので、一度医師国保に加入している医療機関はずっと医師国保の場合が多いです。
クリニック側からみると、医師国保の方がメリットが大きいんですね。
医師国保【まとめ】
医師国保は、医師だけではなく医師の家族やその従業員も入ることが出来る保険です。
クリニック側にとっては、保険料が一定であり、保険料を負担する必要もないことからメリットが多くあります。
ただし、メリットが多いため、医師国保を継続させるために『保険料折半』してくれる医療機関も中にはあります。
折半してもらえると、社会保険料よりも保険料負担が安くなるため従業員側のメリットもありますね。
求人情報に『医師国保加』の文字をみた場合は、保険料の補助手当があるかどうかのチェックも一緒に行いましょう。
保険料は毎月給料より天引きされる必要経費になります。
求人票に必ず加入保険の記載がありますので、しっかりメリット・デメリットを確認することをお勧めします。
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